明治神宮のおみくじ「大御心」とは?大吉・凶がない理由と全30首の和歌・持ち帰り作法 (2026)
「明治神宮のおみくじに『大吉』や『凶』がないのは、目先の吉凶で一喜一憂するのではなく、御祭神が詠まれた和歌を人生の確かな道標として持ち帰っていただくためです。」
大正9年(1920年)11月1日創建、東京都渋谷区の約70万平方メートルにおよぶ鎮守の杜に鎮座する明治神宮。日本一の初詣参拝者数を誇るこの聖域で授与されているおみくじは、一般的な運勢占いとは一線を画す「大御心(おおみごころ)」という独自の名称を持ちます。「なぜ大吉や凶が書かれていないのか」「全30首の和歌にはどのような教えが込められているのか」「引いた後は境内に結ぶべきか、持ち帰るべきか」という疑問に対し、制定の歴史的背景から代表和歌の原典解説、初穂料100円での正しい引き方、英語版おみくじの特徴、日の出から日の入りまでの参拝・授与時間までを体系的に解説します。
明治神宮のおみくじ「大御心(おおみごころ)」四大要点
- 大吉・吉・凶などの吉凶区分はゼロ:運勢の良し悪しを占うものではなく、日々の暮らしを正す「人倫道徳の指針」として全30首の和歌と解説文(御教え)が記されています。
- 奇数番は明治天皇「御製」、偶数番は昭憲皇太后「御歌」:両御祭神が生涯に詠まれた12万首超の和歌から厳選された御製15首(第1番・第3番…第29番)と御歌15首(第2番・第4番…第30番)で構成されます。
- 初穂料100円・公式英語版も授与:二拝二拍手一拝の参拝後、初穂料100円を納めて振りみくじで番号を引きます。海外参拝者向けに英訳詩と解説を記した公式英語版「大御心」も用意されています。
- 結ばずに「持ち帰り」を推奨:祓うべき「凶」が存在しないため、財布や手帳に納めて持ち帰り、迷った時に読み返す心の指針とするのが明治神宮の本来の作法です。
明治神宮への参拝前後や遠方にお住まいの方も、和歌の叡智に学ぶ伝統みくじと静かな神託対話をオンラインでお受けいただけます。
1. 明治神宮のおみくじ「大御心」とは?大吉・凶が一切ない歴史的理由
明治神宮のおみくじは「大御心(おおみごころ)」と呼ばれ、「大吉」「中吉」「凶」といった吉凶の等級が1本も存在しないのが最大の特徴です。御祭神である明治天皇と昭憲皇太后の広大無辺な御心(おおみごころ)に直接触れ、一時的な吉凶への迷信や一喜一憂を離れて、人として歩むべき「人倫道徳の指針」を授かるために戦後(昭和22年正月)、明治神宮の監修のもとで独自に制定されました。
戦前の明治神宮は国家管理の官幣大社であったためおみくじを授与していませんでしたが、終戦後の混迷期にこそ人々の心の支えとなる普遍的な道徳訓が求められました。明治天皇は生涯に約9万3千首もの和歌(天皇の和歌を「御製=ぎょせい」と呼びます)を、昭憲皇太后は約3万首もの和歌(皇后・皇太后の和歌を「御歌=みうた」と呼びます)をお詠みになり、その合計は12万首以上にのぼります。その膨大な御製・御歌の中から特に日常の教訓となる全30首が厳選され、奇数番号(第1番、第3番…第29番)に明治天皇の御製15首、偶数番号(第2番、第4番…第30番)に昭憲皇太后の御歌15首が配されています。
| 比較項目 | 明治神宮「大御心」 | 伝統「観音百籤」(浅草寺など) | 一般的な神社の7段階みくじ |
|---|---|---|---|
| 社寺区分 | 神道(神宮) | 仏教寺院(観音霊場ほか) | 神道(全国各地の神社) |
| 本数と構成原典 | 全30首(御製15首+御歌15首の三十一文字和歌) | 全100本(五言絶句の古典漢詩20字) | 50本〜100本(古歌または現代語訓辞) |
| 吉凶ランクの有無 | 吉凶なし(大吉も凶も0本) | 7段階(大吉17%・吉35%・凶30%等) | 7〜12段階(大吉〜凶、凶は少なめ) |
| 奉納金と外国語対応 | 初穂料 100円(日本語版・公式英語版あり) | 冥加金 100円(裏面に英語訳併記) | 初穂料 100円〜200円(神社により異なる) |
| 引いた後の推奨作法 | 原則として大切に持ち帰り日々の指針とする | 吉系は持ち帰り、凶は指定の結び処へ結ぶ | 持ち帰りまたは指定の結び所へ結ぶ |
同じ東京都内を代表する参詣地でありながら、平安時代以来「凶30%」の配分を守る仏教寺院・浅草寺と、吉凶そのものを置かず道徳和歌を授ける神道聖域・明治神宮は鮮やかな対照をなしています。両者の歴史や作法の違いは浅草寺のおみくじ「観音百籤」の確率と歴史ガイドおよび浅草寺と明治神宮の徹底比較ガイドもあわせてご参照ください。
2. 「大御心」に収録された代表和歌と世界平和・四海兄弟の精神
「大御心」のおみくじ箋には、三十一文字(五・七・五・七・七)の和歌一首とその題、そして現代の生活に即した平易な解説文が記されており、神前に恥じぬ「誠(まこと)」や日々の勤労・修養、朝日のように爽やかな心、大空のような寛容さを一貫して説いています。その根底には、世界の人々を同じ同胞(はらから)と慈しむ明治天皇の「四海兄弟(しかいけいてい)」と世界平和への祈りが息づいています。
第1番|明治天皇御製(題『神祇』)
「目に見えぬ 神にむかひて はぢざるは 人の心の まことなりけり」
【御教えの要旨】他人の目がある時だけ体裁を整えるのではなく、目に見えない神々の御前に立っても一点の恥じるところがない清らかで正直な良心こそが、人間にとって最も貴い「誠(まこと)」であるという教えです。神道倫理の根幹をなす第一番の御製です。
第16番|昭憲皇太后御歌(題『勤労』)
「みがかずば 玉の光は いでざらむ 人のこころも かくこそあるらし」
【御教えの要旨】どれほど優れた宝石(玉)の原石であっても、丹念に磨かなければ美しい輝きを放つことはありません。人の心や才能もそれと同じであり、日々のたゆまぬ勤労と学び、自己修養を重ねてこそ真の人格が輝くことを慈愛深く諭されています。
第17番|明治天皇御製(題『日』)
「さしのぼる 朝日のごとく さはやかに もたまほしきは 心なりけり」
【御教えの要旨】東の空へ真っ直ぐに昇っていく朝日のように、常に曇りなく明るく爽やかな心持ちを保ちたいものだ、という御製です。過去の執着や迷いを払い、毎朝を清々しい感謝とともに迎える心構えを説いています。
第25番|明治天皇御製(題『天』)
「あさみどり 澄みわたりたる 大空の 広きをおのが 心ともがな」
【御教えの要旨】浅緑色に晴れわたった大空のように、広く澄みきった度量と寛容さを自分自身の心としたい、という御製です。小さな利害や対立にとらわれず、他者を包み込む大らかな視野を持つことの大切さを教えています。
明治天皇の平和御製に宿る「四海兄弟」と世界平和の祈り
さらに明治神宮の精神を語るうえで欠かせないのが、大御心(第1番〜第30番)の選定母体である明治天皇御製の中でも、世界平和を願う象徴的な一首として国際的にも知られる明治37年(1904年)の御製です。
「よもの海 みなはらからと 思ふ世に など波風の たちさわぐらむ」
「世界中の四方の海を越えたすべての人々を、皆同じ兄弟姉妹(はらから)と思っているこの世であるのに、どうして争いの波風が立ち騒ぐのであろうか」と詠まれたこの御製は、海外の指導者や知識人にも広く感銘を与えてきました。神道における参拝(参詣)とは、単なる個人的な願掛けではなく、鎮守の杜の静寂の中で感謝を捧げ、自らの心を省み、国境や文化を越えた平和と調和を祈る営みにほかなりません。静かな内省の時間を持たれたい方は、神託所での静かな神前問答もあわせてご活用ください。
3. 明治神宮「大御心」の正しい引き方4手順|初穂料100円と公式英語版
明治神宮の「大御心」は、①手水舎で清めて御社殿にて二拝二拍手一拝で参拝し、②外拝殿脇や長殿(授与所)前のおみくじ処で初穂料100円を納め(日本語版のほか公式英語版も選択可)、③木製のみくじ筒(振りみくじ)を振って出た1番〜30番の棒を確認して筒へ戻し、④該当番号の「大御心」を拝受して和歌と御教えを味読する、という4手順で引きます。
手水舎で心身を清め、御社殿で「二拝二拍手一拝」の参拝を行う
おみくじを引く前に、南参道・北参道の手水舎(てみずや)で左手・右手・口の順に清め、まずは本殿(拝殿)へ向かいます。神道の正式作法である「二拝二拍手一拝(深くお辞儀を2回・胸の前で柏手を2回・感謝を込めて最後にもう1回深くお辞儀)」で参拝し、いま人生において導きを請いたい課題を静かに心の中で報告します(合掌のみで拍手を打たない仏教寺院との違いに留意しましょう)。
授与所・おみくじ処にて「初穂料 100円」を納める(英語版も選択可)
拝殿前の広場(外拝殿周辺)や授与所のおみくじ台へ進み、初穂料(はつほりょう)100円硬貨を納めます。明治神宮では明治百年(昭和43年・1968年)を機に外国人参拝者向けの英文みくじが導入され、現在も上質な和紙調の紙に和歌・英訳詩・道徳解説を記した公式英語版「大御心(Omigokoro)」が日本語版と並んで授与されています。
木製のみくじ筒(振りみくじ)を振り、1〜30番の棒を確認して戻す
木製のみくじ筒を両手で恭しく持ち、心を落ち着けて軽く振ると、小さな穴から1番〜30番までの番号が記された細いみくじ棒が1本出てきます。記された番号を確かめたら、みくじ棒は必ず元の筒の中へ戻します。
該当番号(第1番〜第30番)の「大御心」を拝受し、和歌と御教えを味読する
有人授与所では巫女(みこ)や神職の方に番号を伝えて該当する「大御心」を授かり、セルフ式の授与台では同じ番号の棚から1枚だけいただきます。その場で和歌のリズムと解説文を静かに読み味わい、いまの自分へのメッセージとして受け止めましょう。
4. 「大御心」は境内に結ぶべき?持ち帰るべき?正しい保管と返納作法
明治神宮の「大御心」には祓い落とすべき「凶」が一切含まれておらず、境内におみくじを結ぶ場所(結び所)も設けられていないため、結ばずに自宅へ大切に持ち帰ることが本来の作法です。手帳や財布に納めて折に触れて読み返し、鎮守の杜の生木や柵には決して結ばず、1年を経た古い箋は神社の古神札納め所へ感謝とともに返納します。
- 手帳や財布に納めて持ち帰るのが最良の作法:大御心は一度読んで終わりではなく、仕事や人間関係で迷いが生じた折に何度でも読み返す「心の羅針盤」です。折れ曲がらないよう手帳や財布、本の栞(しおり)として身近に保管しましょう(持ち帰ったおみくじの詳しい保管方法は良いおみくじの保管・返納ガイドもご覧ください)。
- 境内に「結び所」は設置なし(鎮守の杜の樹木・柵への結びつけは厳禁):一般的な神社とは異なり、明治神宮では「大御心」を持ち帰って読み返す教訓和歌としているため、境内におみくじを結ぶ専用ラック(結び所)自体を設けていません。創建100年を超える鎮守の杜(全国からの献木約10万本)の生きた樹木や枝、社殿の柵に紙を結ぶ行為は樹皮を傷めるため厳禁です(神社参拝全般の礼儀は日本の神社参拝マナー完全ガイド参照)。
- 1年経った古い「大御心」の納め方:1年間大切にした大御心や次回の初詣で新しく引き直す際の古い箋は、家庭ゴミとして粗末に扱うのではなく、明治神宮の南手水舎右手にある「古神札納め所(古神符納所)」または最寄りの神社の古札納所へ感謝を込めてお納めください。
5. 明治神宮の開門・閉門時間(日の出〜日の入り)・授与所時間とアクセス
明治神宮はJR「原宿駅」および東京メトロ「明治神宮前〈原宿〉駅」から徒歩約1分に位置し、年中無休で日の出とともに開門し、日の入りに合わせて閉門します(お守りや「大御心」の主な授与所は概ね朝8:00〜8:30頃から閉門時刻まで開所)。
| 神社名・御祭神 | 明治神宮(御祭神:明治天皇・昭憲皇太后 / 大正9年[1920年]11月1日創建) |
|---|---|
| 所在地 | 〒151-8557 東京都渋谷区代々木神園町1-1 |
| 開門・閉門時間 | 年中無休:日の出 〜 日の入り(月により変動) 目安:6月 5:00〜18:30頃 / 春(3月) 5:40〜17:20頃 / 秋(10月) 5:40〜16:40頃 / 12月 6:40〜16:00頃(1月は16:20頃閉門) |
| 授与所・「大御心」初穂料 | 初穂料 100円(現金硬貨・日本語版および英語版あり) 長殿・授与所は概ね 8:00〜8:30頃(季節により9:00頃)〜 閉門時間まで。鳥居から本殿まで徒歩約10分かかるため閉門30分前までの到着を推奨。 |
| 最寄り駅アクセス | JR山手線「原宿駅」(表参道改札・西口)または東京メトロ千代田線・副都心線「明治神宮前〈原宿〉駅」より南参道鳥居まで徒歩約1分(代々木駅・参宮橋駅からも徒歩約5分) |
大鳥居や明治神宮御苑(清正井)、酒樽・ワイン樽など境内全体の見どころと参拝ルートは明治神宮の完全参拝ガイドにて詳しくご紹介しています。また、参拝前の心の準備としてオンラインおみくじもぜひお試しください。
よくある質問
- 明治神宮のおみくじ「大御心(おおみごころ)」に大吉や凶がないのはなぜですか?
- 明治神宮では一時的な吉凶の運試しに一喜一憂するのではなく、日々の生き方や心を整える指針を授かるため、大吉・凶の区分を設けていません。御祭神である明治天皇の御製15首(奇数番)と昭憲皇太后の御歌15首(偶数番)の計30首から、誠実・勤勉・調和を説く和歌と解説文が授与されます。
- 明治神宮のおみくじの初穂料(料金)はいくらですか?英語版もありますか?
- 初穂料は1回100円です。拝殿で二拝二拍手一拝の参拝を済ませた後、授与所や外拝殿前のみくじ処で木製の振りみくじ筒を振って出た番号(1番〜30番)の用紙を受けます。日本語版だけでなく、和歌の英訳と解説を記した公式英語版「大御心」も用意されています。
- 引いた「大御心」は境内に結ぶべきですか?持ち帰るべきですか?
- 大御心には祓い落とすべき「凶」がなく、境内におみくじを結ぶ場所(結び所)も設置されていないため、手帳や財布に入れて大切に持ち帰り、折に触れて読み返すのが本来の作法です(鎮守の杜の生木や柵などには絶対に結ばないでください)。
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